では、なぜ竹林が拡大している?



報道では、たけのこ栽培がダメになったため、竹林が放置されたとか、 竹材が売れなくなったのでとか、その原因を「竹」に結び付けるものばかりです。 確かに竹林の多くは荒れ放題ですから、結果としてそのような話になるのは分かります。

しかし、前ページでも書きましたように、竹林の放置と拡大は生態的に無関係ですから、 そのような原因を挙げるのは間違いです。

では、本当の原因は何なのか? 結論は簡単です・・・

「竹が入ってきたら困る側の責任」なんです。

現在、「竹が入って来て、ひどい目にあっている」山は、「里山」や「造林地」です。
しかし、かつての里山は人々の生活に欠かせない「焚き物」を供給する大切な山(薪炭林)でした。
ですから、里山の持ち主と焚き物を頂く人との間には立派な「契約関係」が成立していて、 焚き物を頂く人は必死で里山を守ってきました。
邪魔になる「竹」など里山に侵入して来たなら、直ちに切り取っていたことでしょう。

ところが、現在はどうでしょうか。今頃、焚き物を燃やして煮炊きしたり、お風呂を沸かしている人はそれこそ稀でしょう。
つまり、里山と人々の生活との関係は完全に崩壊しているのです。
ですから、誰もその気になって里山を守ろうとしていないのではないでしょうか。
だから、竹が侵入すると容易に拡大してしまうのです。

一方、造林地はどうでしょうか。
現在の造林地も、有名な林業地ならともかく、一般には下刈り、間伐、枝打ちなど、 本来林業としてやらなければならないことがなされていないものばかりです。
もちろん、竹が入っていっても、誰もそれを切ろうとはしません。
したがって、里山や造林地への竹林の拡大は「竹に何の責任もない」のです。


もう一度、竹林の拡大は、入られては困る側の責任です。

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